編集長 伊集院光の一言 テレビを見ていたら、なんだか帰ってきたらしいので書く。 多摩川にひょっこり現れた迷いアザラシ、名づけて『たまちゃん』。その後いなくなったと思ったら、横浜の鶴見川に現れて『つるちゃん』に名前を変えようとか「やっぱり『たまちゃん』は『たまちゃん』のままで」とかプチ論争があったりして、そんな中本人お構い無しにドロン。 「そんなの知ったことか!?」と思っていたが、こんなに克明に知ってる。少々自己嫌悪だ。 正直なところ、本当に正直なところ「どっかで死んじゃってんだろうな。」と思っていた僕。しかも「だとすると、無邪気に手を振ってた河川敷のガキどもの知らないところで死んだ分、まあ良い終わり方だったな。」とまで思っていたが、ところがどっこい、昨日横浜周辺の何とか川に現れたという。自己嫌悪に落ちた分、川の名前をいい加減にしか覚ないことにする。 しかし、みんな好きだねえ、動物が困ってるのが。迷いアザラシに迷いクジラ、矢がも、首に針金が巻きついた犬、行き交う自動車の間をヨチヨチ渡るカルガモちゃん一家、、、 たしかに動物が困っているのはかわいそうだし心配するのがあたりまえなんだけど、テレビや新聞がこぞって追いかけるうちになんだろう「お祭りチック」になってきて変な感じだ。あのアザラシ周辺の見物人、報道陣の数ときたら、、、。 ちょっと前にラジオ番組で取材した、海洋学かなんかの専門化の先生が言っていた「東京湾の運河にイルカの群れを」というプロジェクト。 あの汚い東京湾の運河を浄化してネットで囲い、イルカを放す。技術的には可能だそうで、あとは100億円だかの予算がつくかどうかの問題だという。先生曰く、水質の浄化に土木関係の雇用が生まれ、イルカに関しては各地シーワールドの年老いて芸が出来なくなったイルカを引き取る。もしくは漁村に被害を及ぼしているイルカを引き取る。しかもそれが周辺地域の観光資源になったり「まどからイルカが見えるマンション」などの需要も出来るという。 この話を聞いたときはあんまりぴんとこなかったが、この騒動を見ていると十分成り立つような気がする。 さてこのアザラシ騒動。結末はどうなるのか、すっかり飽きた頃に人前で死ぬくらいだったら、ピークの今どこかへ行ってしまって「元気でやってるかなぁ」くらいが良いと思うのだが。 (以上、全文954文字÷テーマ「たまちゃん」5文字、190倍返しでお送りしました。) バックナンバーへ募集中! 7文字で50倍返し! 戻る